車の所有者がディーラーのままの売却できる?デメリット・注意点は?

車の所有者がディーラーのままの売却できる?デメリット・注意点は?
クレフィ
車の所有者がディーラーのままでも売却できる?どのようなデメリットや注意点がある?

車検証をひらいたとき、所有者の欄にディーラーの名前が書かれていて、おどろいた方も多いのではないでしょうか。

じつは、ディーラーローンで車を買った場合、支払いが終わるまで所有者は販売店や信販会社のままになります。この仕組みは所有権留保とよばれ、めずらしいことではありません。

とはいえ、そのままにしておくと、売却や廃車のときに手続きが進まず、思わぬ手間や費用がかかることもあります。とくにローンを完済しているのに名義がそのままの方は注意が必要でしょう。

この記事では、車の所有者がディーラーのままで生じるデメリットや、名義を自分へ変える進め方をわかりやすく説明します。読みおわるころには、いま何をすべきかがはっきりするはずです。

目次

車の所有者がディーラーのままで生じるデメリット

車の所有者がディーラーのままで生じるデメリット

所有者がディーラーのままでも、ふだんの運転で困ることはほとんどありません。ただし、車を手ばなすときや名義にかかわる手続きでは不便が出てきます。代表的な5つのデメリットを見ていきましょう。

ローン返済中は車の名義を変更できない

ローンの残りがある間は、車の所有者を自分へ変えることができません。販売店や信販会社が、支払いを確実に受けとるために権利を持ったままにしているからです。

担保の一種と考えるとわかりやすいでしょう。もし支払いがとどこおれば、車を引きあげて残りの代金にあてる取りきめになっています。

そのため返済中に名義変更を申しこんでも、原則として受けつけてもらえません。名義を自分にしたいなら、まず残りのローンを支払いおえる必要があります。

車を自由に売却できない

所有者がディーラーのままの車は、自分の判断だけで売ることができません。売却には所有者がそろえる書類が欠かせないためです。

買取店へ持ちこんでも、所有権解除が終わるまで正式な引きわたしはできません。査定や商談は進められますが、入金までに時間がかかる点は覚えておきましょう。

ローンが残っている場合は、売却代金で残りの支払いを清算する方法が一般的です。買取店が手続きを代行してくれるケースも多いので、査定のときに相談してみてください。

車を譲渡する際に所有者の承諾が必要になる

家族や友人に車をゆずるときも、所有者の承諾なしには進められません。名義が自分でない以上、勝手に第三者へわたすことはできないからです。

実際には、ディーラーから譲渡証明書や委任状を出してもらう必要があります。書類がそろうまでに日数がかかることもあり、余裕をもった準備が大切でしょう。

無断でゆずってしまうと、契約違反になるおそれもあります。かならず事前に販売店へ連絡してください。

車を廃車にする際に所有権解除が必要になる

事故や故障で車を廃車にする場面でも、先に所有権解除の手続きが必要です。廃車は登録の抹消をともなうため、所有者本人の意思確認が求められます。

解体だけを業者に頼んでも、書類がそろわなければ抹消登録は完了しません。自動車税の還付や自賠責保険の返戻を受けそこねる可能性もあるのです。

急なトラブルほど、時間の余裕はないものでしょう。ふだんから名義を自分に変えておけば、いざというときに落ちついて動けます。

ローン完済後も名義変更の手間がかかる

ローンを支払いおえても、名義は自動的には変わりません。所有権解除は、こちらから申しこむ決まりになっているためです。

販売店へ連絡して書類をそろえ、運輸支局へ出向いて移転登録をおこないます。平日の日中しか窓口があいていない点も、はたらく人には負担でしょう。

行政書士などに任せる方法もありますが、その場合は代行の費用がかかります。完済したら早めに動くことが、結果として手間をへらす近道です。

車の所有者がディーラーのままになるメリット

車の所有者がディーラーのままになるメリット

デメリットばかりに見える所有権留保にも、買う側にとっての利点があります。仕組みを知っておくと、次に車を買うときの選択に役立つでしょう。

ディーラーローンを利用して車を購入しやすくなる

所有権を残しておくことで、販売店は代金を回収できないリスクをおさえられます。その結果、審査の間口が広がりやすくなる点が大きな利点です。

銀行のマイカーローンにくらべ、申しこみから利用開始までが早いことも魅力でしょう。車を見にいったその日のうちに手続きが進むケースもめずらしくありません。

頭金が少なくても購入しやすく、すぐに車が必要な人には現実的な選択肢になります。ただし、金利は銀行系より高めになりやすいため、総支払額はかならず確認してください。

車の所有者がディーラーのままになる仕組み

車の所有者がディーラーのままになる仕組み

自分が買った車なのに、なぜ所有者がディーラーなのでしょうか。車検証に書かれた言葉の意味と、ローンの種類による違いを整理していきます。

車検証に記載される所有者の役割

所有者とは、その車の権利を持っている人や会社をさします。売却や廃車、名義変更といった、車そのものを動かす判断ができる立場です。

ディーラーローンで買った車では、この欄に販売店や信販会社の名前が入ります。支払いが終わるまで権利を手もとに残す取りきめになっているためです。

なお2023年からは、電子車検証への切りかえが進んでいます。券面に所有者の名前が印字されないため、確認には車検証閲覧アプリか、あわせて交付される自動車検査証記録事項を使いましょう。

車検証に記載される使用者の役割

使用者とは、実際にその車を使い、管理する人のことです。日々の運転や整備、税金の負担などは使用者が受けもちます。

所有者と使用者では、担う役割がはっきり分かれています。ちがいを表にまとめました。

項目所有者使用者
立場車の権利を持つ人実際に車を使う人
ディーラーローンの場合販売店や信販会社購入した本人
売却の判断できるできない
廃車の判断できるできない
自動車税の負担負担しない負担する
車検の手続き不要おこなう
車庫の届け出不要おこなう

ふだんの生活で関係するのは、ほとんどが使用者としての役割です。だからこそ、名義がディーラーのままでも不便を感じにくいのでしょう。

ローン契約者が担う役割

ローン契約者は、代金の支払いに責任を持つ人です。多くの場合、使用者と同じ人が契約者になります。

ただし親が契約し、子が使用者になる組みあわせもあります。支払いの責任は親、車の管理は子という形に分かれるわけです。

契約者は返済が終わるまで、支払いの義務を負いつづけます。とどこおると車を引きあげられることもあるため、無理のない返済計画を立てましょう。

ディーラーローンで所有権留保が設定される理由

販売店が所有権を残すのは、代金を確実に回収するためです。価値のある車を担保にしておけば、万が一のときに損失をおさえられます。

もし所有者が最初から購入者だと、返済前に転売されるおそれがあるでしょう。それを防ぐ役割も、所有権留保にはあります。

法律で禁じられた仕組みではなく、広く使われている一般的な方法です。契約書にも記されているので、一度読みかえしてみてください。

銀行系マイカーローンで購入者名義になりやすい理由

銀行のマイカーローンでは、車ではなく本人の信用をもとにお金を貸します。車を担保に取る必要がないため、所有者は最初から購入者になるのです。

二つのローンのちがいを表で見てみましょう。

項目ディーラーローン銀行系マイカーローン
車検証の所有者販売店や信販会社購入した本人
所有権留保あり原則なし
金利の目安高めになりやすい低めになりやすい
審査の早さ早い時間がかかりやすい
申しこみ場所販売店の窓口銀行や信用金庫
完済後の手続き所有権解除が必要不要
返済中の売却販売店の承諾が必要本人の判断で進めやすい

どちらが良いかは、金利と手間のどちらを重んじるかで変わります。名義の自由さを優先するなら、銀行系を選ぶ価値は十分あるでしょう。

車の所有者と使用者が異なる主なケース

車の所有者と使用者が異なる主なケース

所有者と使用者が別々になるのは、ローンの場合だけではありません。家族の間でも、よくある組みあわせがいくつか存在します。

ディーラーローンで購入者が使用者になるケース

もっとも多いのが、この形です。所有者は販売店や信販会社、使用者は買った本人という組みあわせになります。

車の管理や税金の負担は使用者がおこない、権利だけが販売店に残っている状態です。完済すれば、所有者を自分へ変えられます。

返済中でも運転や車検に支障はありません。日常生活では、ほとんど意識せずに過ごせるでしょう。

親が契約した車を同居する子が使用するケース

親が名義人になり、実際には同居する子が運転するパターンです。若い世代は審査が通りにくいこともあり、親が契約を引きうける形がよく見られます。

この場合、車庫証明は使用者である子の住所で取ります。保管する場所と使う実態を合わせておくことが大切です。

任意保険も、実際に運転する人に合わせて設定しましょう。年齢の条件や運転者の範囲をあやまると、いざというとき補償を受けられません。

配偶者が契約した車を家族が使用するケース

夫や妻の名義で契約し、家族みんなで使う形もよくあります。生計を同じくする間柄なら、手続き上の問題はほとんど起きません。

ただし離婚や別居になったときは注意が必要でしょう。名義がそのままだと、売却や名義変更のたびに相手の協力を求めることになります。

将来の変化も見すえて、だれの名義にするかを話しあっておくと安心です。

子が契約した車を別居する親が使用するケース

子が契約し、はなれて暮らす親が使う形も増えています。高齢の親のために、子が費用を負担する事情が背景にあるようです。

別居している場合、車庫証明は親の住所で取得します。使う場所と保管する場所が一致していないと、登録は受けつけられません。

事故のときの連絡先や、保険の内容も整理しておきましょう。離れているぶん、事前の取りきめが役に立ちます。

車の所有者がディーラーのままの場合に各種手続きへ与える影響

名義がディーラーのままだと、保険や税金はどうなるのでしょうか。身近な4つの手続きへの影響を確認していきます。

自賠責保険への影響

自賠責保険は、すべての車に加入が義務づけられている保険です。所有者がディーラーのままでも、問題なく加入できます。

契約者は使用者本人でかまいません。車検を受けるときに、あわせて更新するのが一般的な流れでしょう。

ただし廃車にして保険料の返戻を受けるときは、所有者の書類が必要になります。ここでも所有権解除が関係する点は覚えておいてください。

任意保険への影響

任意保険も、所有者がディーラーのままで加入できます。保険会社が重く見るのは、実際に運転する人と車の使い方だからです。

契約者と記名被保険者は、使用者本人にしておくと安心でしょう。等級を自分に積みあげられるためです。

申しこみでは、車検証の使用者欄をもとに手続きを進めます。所有者の欄が販売店名でも、断られることはまずありません。

自動車税の納付への影響

所有権留保がついた車では、使用者が自動車税を納めます。税の決まりで、使用者を所有者とみなして課税されるからです。

納税通知書は毎年5月ごろ、使用者の住所へとどきます。ディーラーへ届くわけではないので、支払いを忘れないようにしてください。

引っ越したのに住所を変えていないと、通知書がとどかない事態も起こりえます。住所が変わったら、早めに変更登録をおこないましょう。

車検手続きへの影響

車検は使用者の名義で受けられます。所有者の承諾書などは、原則として求められません。

整備工場や販売店へ依頼する流れも、名義による違いはないと考えてよいでしょう。用意するのは車検証と自賠責保険証明書、納税証明書などです。

ただし住所や氏名が変わっているなら、先に変更の手続きが必要になります。書類の内容と現状を合わせておくことが基本といえます。

車の所有者がディーラーのままの場合の注意点

車の所有者がディーラーのままの場合の注意点

放っておいても日常に困らないぶん、対応が後まわしになりがちです。あとで困らないために、おさえておきたい点を4つ紹介します。

ローン残債がある間は名義変更できない

まず確かめたいのは、ローンが残っているかどうかです。残りがある間は、原則として名義を自分へ変えられません。

どうしても売りたい事情があるときは、販売店や信販会社へ相談してください。売却代金で残りを一括返済し、そのまま所有権解除へ進む方法があります。

残っている金額は、契約書や返済予定表、信販会社の会員ページで確認できるでしょう。まずは正確な数字をつかむところから始めましょう。

完済後はディーラーへ所有権解除を依頼する

支払いを終えたら、購入した販売店か信販会社へ連絡します。所有権解除に必要な書類を送ってもらう流れです。

連絡のときは、車検証の登録番号や車台番号を伝えるとやりとりが早く進みます。手もとに車検証を用意しておくとよいでしょう。

販売店が閉店している場合は、信販会社へ直接たずねてください。会社そのものがなくなっているなら、合併先や清算人の情報を調べる必要があります。

名義変更に必要な書類を準備する

所有権解除と名義変更では、そろえる書類がいくつもあります。おもなものを表にまとめました。

書類名用意する人おもな注意点
譲渡証明書所有者実印の押印が必要
委任状所有者実印の押印が必要
印鑑証明書所有者発行から3か月以内
印鑑証明書新しい所有者発行から3か月以内
実印新しい所有者委任状に押す
車検証使用者原本を持参する
車庫証明書新しい使用者使用者が変わるとき
申請書と手数料納付書申請する人窓口で受けとれる

手続きの窓口は、住んでいる地域の運輸支局です。軽自動車の場合は、軽自動車検査協会へ出向きます。

移転登録の手数料は500円で、大きな負担にはならないでしょう。ただし平日の日中しか受けつけていないため、日程の調整は早めにしておいてください。

使用者として車を適切に管理する

名義がディーラーのままでも、車を守る責任は使用者にあります。日ごろの点検や保険の見直しを、こまめにおこないましょう。

とくに次の点は忘れないでください。

使用者が守るべき車の管理項目
  • 自動車税を期限内に納める
  • 車検を切らさない
  • 任意保険を続ける
  • 住所変更を届け出る
  • 車検証を車内に備える

管理をおこたると、契約違反として車を引きあげられるおそれもあります。自分の車と同じ気持ちで大切にあつかうことが、結局は自分を守ることにつながるのです。

車の所有者がディーラーのままの場合によくある質問

車の所有者がディーラーのままの場合によくある質問

最後に、よせられることの多い疑問へお答えします。似た状況の方は参考にしてください。

ローン完済後も所有者がディーラーのままならどうすればよいか

すぐに販売店か信販会社へ連絡し、所有権解除を申しこんでください。完済しても名義は自動で変わらないためです。

放置していると、売却や廃車の場面で急に困ることになります。書類の取りよせに日数がかかることもあるので、早めの行動が安心でしょう。

販売店が廃業している場合は、法務局で会社の登記を調べる方法があります。判断に迷うときは、行政書士へ相談するのもひとつの手です。

所有者がディーラーの車でも売却できるか

売却そのものは可能です。ただし、所有権解除を終えなければ、名義を買主へうつせません。

ローンが残っているなら、売却代金を残りの返済にあてる方法が一般的でしょう。買取店が信販会社とのやりとりを代行してくれることもあります。

査定を受けるときに、名義の状況を正直に伝えておいてください。話が早く進み、入金までの期間も短くなります。

所有者がディーラーのままでも車検を受けられるか

問題なく受けられます。車検で確かめられるのは車の状態と使用者の情報だからです。

所有者の同意書や委任状を求められることは、通常ありません。車検証と自賠責保険証明書、納税証明書を用意すれば足りるでしょう。

もし住所が変わっているなら、先に変更登録をすませてください。書類の住所と現住所がちがうと、手続きが止まってしまいます。

所有者がディーラーのままでも自動車保険に加入できるか

自賠責保険も任意保険も、使用者の名義で契約できます。

保険会社が重く見るのは、車をだれが運転するかという点でしょう。所有者の欄が販売店名でも、審査に影響することはまずありません。

等級を積みあげるため、契約者と記名被保険者は自分にしておくのがおすすめです。将来の保険料をおさえる効果も期待できます。

車の所有者がディーラーのままになるデメリットのまとめ

車の所有者がディーラーのままになるデメリットのまとめ

車の所有者がディーラーのままでも、運転や車検、保険の加入に支障はありません。自動車税も使用者へ請求されるため、日常では不便を感じにくいでしょう。

ところが売却や譲渡、廃車といった場面では話が変わります。所有者の書類がそろわないかぎり手続きは進まず、時間も費用もよけいにかかってしまうのです。

ローンが残っている間は名義を変えられませんが、完済したらすぐに所有権解除を申しこんでください。放っておくほど、販売店の廃業や書類の不備といった問題が起こりやすくなります。

まずは車検証をひらき、所有者の欄を確かめるところから始めましょう。ローンの残りもあわせて調べ、完済していれば今日にでも販売店へ連絡してみてください。小さな一歩が、将来の大きな手間を防いでくれます。

目次